発熱と解熱剤の使用について

「発熱」とは、医学的には体温37.5度以上を発熱と言います。
(体温には個人差がありますので、37.4度以下でも発熱と考えられる場合もあります。)
最近のご時世として、「発熱」があるといけないと思われがちですが、発熱の原因の一つである「感染症」に対しては、
発熱することによって免疫系を活性化させ、感染の原因微生物(病原体)の増殖をおさえるための正常な反応と言われています。

また「発熱」を起こす病気は多岐にわたります。
・ “急な”発熱の主な原因(目安…発熱より1週間以内):多くは感染症が原因
・感染症(注) 感染性心内膜炎、骨髄炎、結核などは慢性経過を来す
・膠原病 (関節リウマチ、SLEが代表的な疾患)
・悪性腫瘍: 癌 (腫瘍熱)
・内分泌異常:ホルモン異常 (副腎・甲状腺機能異常)
・血栓・塞栓症 (深部静脈血栓症など)
・薬剤熱 (薬剤の副作用による発熱) などe

病気は、早期発見・早期治療が理想的ではありますが、発熱が出て“すぐ”(1日以内など)病院を受診して、
検査をしても発熱の原因がわからないことが多いのが現実です。
その場合、解熱鎮痛薬による対症療法(症状に応じた薬による治療: 発熱→解熱薬、咳→鎮咳薬、痰→去痰薬 など)が行われることが多いと思いますが、
場合によっては、必要のない検査・薬が使用され、副作用が出てしまう可能性もあります。
「できるだけ早く病院を受診した方がよい場合」に当てはまらない場合などでは、市販の解熱薬・総合感冒薬などを上手に利用し、
症状出現の翌日以降・日中に、開業医・かかりつけ医、また症状に合わせた専門医のいる一般外来を受診することも検討して下さい。
また“慢性的な”発熱は、特に専門的な対応が必要になることがありますので、夜間・救急外来ではなく、日中の一般外来の受診を検討して下さい。

解熱剤の使用に関してですが、特にお子様に対して、熱があるから直ぐに解熱剤を使用すべきと思われる方がいらっしゃいます。
しかし元々お子様は平熱が高い場合が多く、38度を超えてても比較的元気な子が多いです。
冒頭に記載させて頂いた通り、発熱とは、免疫系を活性化させ、感染の原因微生物(病原体)の増殖をおさえるための正常な反応と言われています。
発熱があっても元気な状態であれば、お子様の場合で感染症が原因の場合は特に、解熱剤を使わない方が結果的に早く治る事も多いです。
平熱も個人差がありますし、熱があるからと安易に使用せずに、日頃の平熱と現在の状態を鑑みながら使用するようにしてみてください。